虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
(私がすごいんじゃなくて、サフィがすごいのに)

 アルトリシアは雨を呼び出した力が彼のものだと信じている。魔石に効果を与える能力――皆は祝福と呼んだ――も、周囲が言うほど特別なものではないと考えていた。これまで過ごしてきた八年間が、彼女の自己肯定感を低めたせいだ。

 なにをしても役に立たない出来損ないのアルトリシア。ゼノハルトは違うと言ってくれたが、長年刻み込まれた暴言はなかなか彼女の中から消えない。

「あっ、あれもきれいだね」

 嫌な考えから意識を振り払うように、アルトリシアはまた違う露店へ駆け込んだ。

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