虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 ご機嫌なアルトリシアと歩きながら、ゼノハルトが頬を緩める。

 きっと娘は今夜も遊び疲れて早く眠るだろう。さすがに夕食中に寝るほどではないと思いたいが、彼女は年齢の割に幼いところがある。どちらにせよ、飴を食べるのは明日になりそうだ。



 西の空に赤みが差し始めた頃、ふたりは以前にも使用した転移装置のもとへ向かった。

 しかし建物の周囲には困った様子の人々が溢れかえっている。

「なにかあったのか?」

 ゼノハルトが尋ねると、声をかけられた男が顔をしかめて答える。

「転移装置が使えなくなってるらしいんだよ。魔石がうまく発動しないとかなんとかで」

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