虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 しかし、子どもたちが身を寄せ合って父親の帰りを待ってしばらく、にわかに部屋の外が騒がしくなり始めた。

「なんだ、お前たちは――ぐわあっ!」

 遠くから聞こえた不穏な悲鳴に、ふたりの肩が大きく跳ねる。

「ティト、今の……聞こえた?」

「お姉ちゃんも?」

 言葉にせずとも、恐ろしいことが起きているのだと理解する。

 廊下から聞こえる音は次第に大きくなっていった。自分たちのいる部屋に近づいているのだと気づき、アルトリシアは震える手に力を込めてティトを引っ張る。

「隠れよう。こっちに来てる」

「う、うん」

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