虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 頭の中で響くはずの声がはっきりと現実のものとして耳に届く。顕現したルブが通路の奥を示していた。

「ルブ……」

「俺がお前もティトも守ってやるから」

 アルトリシアの身体からどっと力が抜けた。自分がなんとかしなければならない状況は想像以上に恐ろしく、彼女の神経を尖らせていたようだ。

「お姉ちゃん、行こ」

「うん」

 ルブのあとを追い、ティトと一緒に通路の先へ向かう。

 暗く冷ややかな通路はかび臭く、じめじめしていた。ときどき足が滑りそうになりながらも、必死に安全な場所を求めて駆ける。

(いったいなにが起きてるの? どうしてこうなったの?)

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