虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 サフィ、とゼノハルトはアルトリシアから託された指輪に呼びかける。彼女は声を出さずとも会話していたが、ゼノハルトに同じ芸当はできなかった。

 しかし、サフィは応えない。ただの指輪であるかのように沈黙している。

 嫌な予感がした。戦場にいるとき、幾度も感じた虫の知らせとも呼べる奇妙な感覚。

 それを突き詰めている暇はなく、北地区へ続く大通りの道を行く。

 王都は混乱に陥っていた。それも無理はないだろう。今日はミラルドの建国を祝う祭の日で、王都の住民だけでなく外国や地方からの観光客も集まっている。

 これ以上ない最悪の日に事件が起きたと言っても過言ではない。

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