虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 やがて彼らは件の北地区に辿り着いた。商業地域であり、普段は人で賑わっている。

 だが、今は容赦なく暴れる魔獣と立ち向かう騎士たちと、そして逃げ惑う人々で凄惨な光景が広がっていた。

 道に点々と転がる物言わぬ死体を見やり、ゼノハルトはさらに表情を引き締める。荒れた道の端で馬の足を止め、立派な体躯を感じさせない動作で地面に降り立った。間髪入れずに腰に佩いていた剣を抜き、白刃をきらめかせる。

「ファイス、お前はなるべく後ろに――」

 言いかけたゼノハルトの目の前に、突然サフィが現れた。人前で人間らしからぬ行動を選択するのは、彼らしくない。

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