虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 アルトリシアはマイネスにこんな猫なで声で話しかけられた経験がなかった。ただし、彼が商人や妻に媚びを売るときにこんな声を出していたのを覚えている。

 だから、彼女は警戒した。もとよりこの実父を信頼などしてはいなかったが。

「どうして私を助けてくれるの……」

「なに? そんなの決まってるじゃないか。大事な娘だからだよ」

 胸を鋭い刃で貫かれたような衝撃が走り、一瞬だけアルトリシアは息の仕方を忘れた。

 彼は今、なんと言った?

「いいかい、アルトリシア。お前が恐ろしい思いをする羽目になったのは全部エクレルの若造のせいだ。またうちに戻ってくれば、こんな思いもしなくて済むんだよ」

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