虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 アルトリシアは鈍いうめき声を上げて胃の中のものを吐き出した。痛みと苦しさで涙が止まらないながらも、実父の浅ましさにまた弱々しく微笑する。

「この……出来損ないが!」

 殴られ、蹴られて、アルトリシアは思考の世界に逃避した。

(パパは私を出来損ないって言わなかった。なにもできなくていいんだよって言ってくれた。笑ってたらそれだけでいいんだって)

 背中を思い切り石壁に叩きつけられ、目の前がちらつく。

(私、パパに会えて幸せってどういうことなのか知ったの)

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