虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 こふ、とアルトリシアは濁った息を吐いた。意識が朦朧として、これ以上大好きなゼノハルトについて考えられない。

「マイネス、そのぐらいにしておけ。それともここで殺すか?」

「……いや、そのつもりはありませんよ。ただのしつけです」

 さすがに止めに入ったモーゼルに返すと、マイネスはアルトリシアの髪を掴んで乱暴に引き上げた。

「いくらお前が神子でもここからは逃げられないぞ。魔石を無力化する魔法で満たされているからな」

 そんな魔法は初めて聞いた。しかし質問するだけの力は、もう彼女に残されていなかった。

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