虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 しばらく戦場を離れていたせいで腕が鈍ったかもしれないと思っているのを知られたら、尊敬を通り越して畏怖されるだろう。

 長剣を払って魔獣の血を拭い、核となる魔石を体内から引き剥がす。剥ぎ取った大振りの赤い石は紅玉髄。あまり市場に出回らない魔石だ。核の販売を生業にする魔獣専門の狩人たちならば、目の色を変えたに違いない。

 これで王都を荒らす魔獣たちはすべて駆逐した。

「陛下、単独行動をお許しください」

 日頃は気の置けないやり取りをするゼノハルトも、ほかの者がいる前では口調を改める。ファイスはそんな彼に向かって頷いた。

「許す。私の馬を使うといい」

「いえ、それは」

< 286 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop