虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
「使ってくれ」

 ファイスの目には国王としてではなく、父親としての光が宿っていた。

 彼は城に残してきた息子たちになにかが起きたのを知っている。サフィの様子がおかしかったところを見ているからだ。

 魔獣を討伐するにあたり使い潰された馬では、城へ戻るまでに時間がかかる。早く様子を確認しに行ってほしいという意思を感じ取り、ゼノハルトは恭しく王家所有の駿馬にまたがった。



 さすがに国王がのる馬というだけあって、疲れ知らずの速度が出た。

 あっという間に城に到着したゼノハルトは、不気味なほど静まり返った城内に嫌な汗を流す。

< 287 / 387 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop