虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 部屋に知り合ったばかりの彼らの姿はなかった。急に不安が込み上げるも、そのとき頭の中に聞き慣れた声が響く。

『よう。起きたか、ちび』

『大丈夫かー?』

 すぐ耳もとで話しかけられたような、それでいてどこか遠くから声をかけられているような、不思議な感覚に驚いたアルトリシアは、そこで自分の指にはまった指輪に気がついた。

 右手には紅玉がはめ込まれた指輪が、左手には蒼玉がはめ込まれた指輪がある。そんなものを身につけていた記憶などなかったが、鮮やかな石の色には覚えがあった。これはサフィとルブ、それぞれの瞳の色によく似ている。

「サフィ? ルブ……?」

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