虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい

 事後処理をしていく中で、城とモーゼル伯爵の別邸にも魔獣が現れたことがわかっている。

 王都に現れたどの魔獣よりも凶暴で、その場にいた手当たり次第の人間を襲っては殺戮に酔っていたようだ、と。件の魔獣の遺骸はどこにもなく、今も城では厳戒態勢が取られている。

 ゼノハルトがサフィに会ったとき、彼は青銀の狼の姿をしていた。アルトリシアが好んで顔を埋めていた毛並みに血がこびりついていたのを、あのときは気にしている余裕がなかったが、あれはいったいどんな行為の結果だったのか。

「……ルブが大丈夫だと言うなら、大丈夫なのだろう」

 自身の考えは告げずに、彼女を安心させようと目を合わせず伝える。

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