虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 まだティトはアルトリシアの袖から手を離さなかったが、だいぶ気持ちが落ち着いたようだった。

 それを見て、ファイスが場を仕切り直す。

「それにしても、本当にいいのかい?」

 尋ねられてアルトリシアは彼を見上げた。

「君が望めば、どんな富も名誉も思いのままだ。神子としての人生を生きれば、この国の歴史にだって残るかもしれない。ここで平凡な生涯を選んだとして、次の機会があるとは限らないんだよ」

「いいんです」

 きっぱり言い切ると、アルトリシアは父を振り返った。

「私は新しい家族と平凡に生きたいです!」

 そうか、とファイスが親子へと交互に目を向ける。

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