虐げられ幼女は、神子だろうと聖騎士パパ&もふもふお兄ちゃんたちと平凡に生きたい
 このまま助けを待っていたところで、家族が戻ってくる可能性はゼロだ。アルトリシアは勝手にこぼれる涙を必死に手で拭いながら、とぼとぼと足場の悪い道を歩き出した。

 自分が捨てられたのは、家族にとっての役立たずだからだ。しかしまさか、死んでも構わないとまで思われているとは。

 穴へ落とされた際に足を折らなかったのは不幸中の幸いか。そうはいっても引きずらなければ歩くのが困難な程度の怪我は負っている。

 廃鉱と言うだけあって、周囲に明かりはなかった。暗闇に慣れた目がかろうじて土壁を視認するくらいで、いつの間にか足もとにあった深い穴に何度も落ちかける。

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