Magic
第ニ章
西へ
歯医者は廃業していた
道を挟んだ向かいは
洋品店
木々は青く
木々で出来た建物が
長く続く
文明の象徴
開けた先には
人々が夢見る
ゴールドラッシュ
開拓者たちは
こぞって山へ
金山を走る列車からは
人々の笑い声
列車に乗ると
より彼が近い
さっきとは違う世界
だがまたここで、
彼との距離が縮まる
触れそうで触れない
近い位置に
小指だけが熱を持ち
ああきっと
夢を追った人々の
声が…
この、
熱だ