野球とソフトボール
放課後の教室って、不気味だ....。
部活が終わって、本当はすぐ帰らないといけないんだけど。
宿題を教室に忘れてしまった私は、先生に許可を取って教室に戻っていた。
机をゴソゴソ漁っていたけど、薄暗いせいか目的のプリントは見つからない。
怖いし、電気をつけよう。
机から立ち上がった瞬間、開けっ放しの教室の引き戸に、ぬっと人影が。
「わーーーーっ」
我ながら女の子らしくない悲鳴をあげながら、その場にしゃがみ込んだ。
怖い怖い‼︎やだやだ、幽霊嫌いーー‼︎
「...ビックリした。
お前も悲鳴とかあげんだな」
幽霊が喋った‼︎
私は恐る恐る顔をあげた。
パチンと電気をつけた幽霊は、クラスメイトの徳永くんだった。
私は、とある事情で凄く居心地が悪くなった。
ーーー幽霊の方がマシだったかも?
いや、やっぱり幽霊はイカンよ。
そんなことをグルグル考えている私の横を通り抜け、徳永くんはロッカーから置き傘を取り出した。
雨降ってるのか。
私も置き傘持って出よう。
その前にプリント探さなきゃ。
そんなことを思いながら、ボーっと彼の動作を見ていた。
いつも女の子には特に無愛想。
話しかけるなオーラが凄いけど、ひょっとしたら校内一のイケメン。
私も殆ど話したことがない。
今も『話しかけるなオーラ』が凄いので、そっと視線を逸らして机の中を覗いた。
ーーやだも、奥の方でくしゃくしゃになってんじゃん。
手を突っ込んで不自然な姿勢になった瞬間、「おい」と彼の声がした。
< 1 / 15 >