野球とソフトボール
ソフトボールに打ち込んだお陰で、引退後すぐに複数の大学から推薦の話が来た。
勿論、大学でも続けるつもりだった私は、その中から選ばせてもらうことにした。
今、住んでいる所から遠く離れた大学。
結構、強いところだ。
そこにしようかと考えている。
正直——私は、彼から離れたいのだ。
同じクラスだから、ついつい彼を目で追ってしまっている。
幸い、彼は気がついていない様子。
近くにいると、多分諦めきれない。
それどころか…彼の素敵なところを見つける度に。
気持ちがどんどん大きくなって、溢れそうで苦しい。
最近は、彼の眸を見て話せない。
恥ずかしくて、後ろめたくて、嬉しくて…。
とにかく、恋心が顔に出てしまいそう。
ーーーそんなことを考えながら、黒板を拭いて日直の仕事を終えた。
放課後の教室の窓を閉めながらグラウンドを見下ろすと、制服のまま後輩を指導している彼を見つけた。
もう引退したのに、面倒見がいい。
彼も、近くの大学の推薦を得たと聞いた。
あと少しで、本当にお別れだ。
私は、彼にとって良い野球友達だったろうか?
これから先、時々思い出してくれるくらいの友達でいられただろうか。
取り留めのない思考を、首を振って散らす。
なんだか、感傷的になってるな。私らしくもない。
ーーー溜息をひとつ吐いた。
さあ、帰ろう。
気合いを入れ直し、私は荷物を纏めて教室を出た。