野球とソフトボール
え、何?
なんて言ったの?
好き?
私が??
徳永くんの言葉が、すとんと胸に落ちた時、一気に頬が熱を持ったのが分かった。
「ふっ、顔、真っ赤だ」
自分だって真っ赤な顔してるくせに、くすくす笑う徳永くん。
私の表情を見て落ち着いたのか、きつく睨むようにただ強かった視線を、ふっと柔らかくした。
「だから、お前から避けられて、すげぇ悲しかった。
悲しくなったから、好きだって気がついたところもあるけど。
もう、どうせ避けられるなら、告白してしまおうと思った。
特に引退してから、他に気を紛らわせるものがなくて何にも手につかないし」
徳永くんは、苦笑いしながら、私の肩からそっと手を離した。
肩からなくなった温もりと、少しの痛みが、何故かとても淋しかった。
「乱暴なことしてごめん。
じゃ、それが言いたかっただけだから」
くるりと背中を向けた彼の左腕を、無意識に追いかけて、掴んだ。
自分で自分のやってることが分からない。
でも。
「待って!一人で完結しないで!」
自分の叫び声に、自分でびっくりしたけど。
でも、この腕は今、絶対に離してはいけないことだけは分かった。