野球とソフトボール
ーーーダメだ、ダメだ!駄目‼︎
私は慌てて視線を逸らした。
「あっ!見て見て‼︎
凄い、夕焼けが川に映ってる‼︎」
不自然な動きを必死で誤魔化す。
まだ、横顔に、彼の視線を感じる。
でも、無視して水の近くに駆け寄った。
視線が外れるのを感じて、やっと息をつく。
なに、今の感じ。
ーー心臓が、壊れそうなほどドキドキしてる。
胸を押さえて川面を見つめていると、のんびりした足取りで隣に彼がやってきた。
「へー、本当だ。
すげぇな、今日の夕焼け」
何だこれ、顔が熱い。
「ね!凄いね‼︎
あれ?夕焼けの時って、明日は晴れるんだっけ?」
「うーん、確か晴れるはず…」
「明日練習試合だから、晴れて欲しいなぁ」
胸のドキドキを一生懸命に誤魔化して、私は喋り続けた。
少し怪訝そうな彼を促し、駅に向かう。
それぞれ路線が違うので、改札でサヨナラして。
私は、猛ダッシュで自分の乗る列車に駆け込んだのだった——