野球とソフトボール



それから私は、一層ソフトボールに熱中した。
『余計』なことを、考えたくなかった。
ーーーううん、きっと。
彼に『お前もか』と、嫌われたくなかったのだ。

今まで分からないことはすぐ彼に質問していたが、なるべく質問しなくていいように、自分で深く考えるようになった。

そうして、彼に話しかける頻度は徐々に半分程に減らした。


時々、もの問いたげな彼の視線を感じたが、敢えてスルーした。
今、彼と目を合わせて話すことはできない。
間違いなく、もれなく、赤面する。

それは、彼に、この『芽』を知られてしまうことになりそうで。

嫌われたくない。
嫌われるくらいなら、離れたい。
良い友達として、彼の記憶に残りたい。


私は、もうそれだけしか考えられなくなってしまっていたーーー


< 9 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop