どうすれば良いの?
莉子は、【恋人】のイメージは漫画の世界しか知らないが、漫画の中の彼氏は、スマートに主人公の女の子をリードしていた。

まるで古賀さんは、漫画の中の彼氏そのもので、莉子は〈主人公の女の子は私なんだ〉と舞い上がっていた。

航平
「加瀬さん? どうしたの?」

莉子
「すみません。舞い上がってるんです…」

航平
「は? 舞い上がってるの? 
クスクス…
加瀬さんって落ち着いてる性格だと思ってたけど、結構天然なんだな〜」

莉子
「え〜。天然なんて初めて言われました。そうかなぁ〜 良くわかりませんが…」


セットのスープやサラダが運ばれてきた。
スープもサラダもファミレスなんかとは違い美味しいし、優しい味がした。

莉子
「美味しい!」

航平
「クスクス… ところでさ〜、
どうして調香師になりたいか気になったんだけど…」

莉子
「ああ。 恥ずかしいな……
私の母は北海道出身で、私が小学6年生の夏休みに北海道のお爺ちゃんお婆ちゃんも一緒に北海道旅行で富良野のラベンダー畑で香水を作るのをガラス越しに見学したんです。

たまたま他に人がいなくて私とそこへ案内してくれた男の子だけだったんですが女性の調香師さんが、ドアを開けて私達に

2枚のリトマス試験紙のような物を渡してくれて…
説明によれば、同じ花のものだけど、
割合が違うと香りが違う事を教えてくれたんです。
その2枚の試験紙の香りは、どちらも良い匂いなんですが全然違う匂いで…

私は、匂いを嗅いで雷に撃たれたみたいになって、将来自分もなりたいって思ったんです……」
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