篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「やだー!!
今日告白しようと思ってたのに、ショック!!」
「私も。告る前にフラれるとか最悪なんだけど」
「ぐすん、もう明日から学校行かない……」
好きな推しが結婚発表した時みたいな、
すごい落ち込みようだ。
「何なんださっきの悲鳴?
倉科、鼓膜大丈夫か?」
当の本人は耳を押さえて、しれっとしてる。
「篠宮くんがあんなこと言うから、
みんな泣いてるんだよ!?」
「え?本当のことなんだから仕方ないだろ。
それより昨日の返事、いつでもいいから待ってるよ。ほら、遅れるから行こーぜ」
「……あっ、ちょっと!」
篠宮くんは私の手を引くと、お通夜ムードな女子達を置いて先に学校へ入って行く。
「お前すげーな」と佐野くんに笑われても、
なんのことか分かっていない。
ああ、どうしよう。結果的に目立ちまくったし、私の顔と名前が色んな人に知られちゃった。
今日から平穏な学校生活は送れないかもしれない……私もその場に崩れ落ちそうになった。