篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
俺が来るのを待っている、瑞季とちひろに向かって淡々と言った。
『悪いけど、今日から慧は進学塾に通うことになったから一緒に遊べないの。だから、誘うのも今後一切やめて頂戴ね』
『……はぁ!?そんなの聞いてねーんだけど?』
『お父さんが優秀な塾講師の方と知り合いでね。
お父さんの口利きのおかげで、高校受験の実績が高い所入れてもらえることになったのよ。よかったわね~!今のうちに勉強して、周りの子と差をつけなさい』
ニコニコ笑ってる目の前の母親に今までで一番腹が立つ。
いや、知るか!
許可なしに勝手に塾に入らされた、俺の気持ちを考えろよ。
しかも高校受験って……中学入って半年も経ってないのに気が早すぎる。
『ふざけんな!俺は行かねーからな!!』
もういちいち言い返すのも面倒になって、大抵はスルーしてきたけどこの時の発言は文句を言わないと気が済まない。
『ダメ、もう決まってるの。
絶対行きなさい、さもないと私がお父さんに怒られるじゃない!』
常に親父……アイツの機嫌を伺ってるお袋にはうんざりだ。
そのままお袋と喧嘩して、気まずそうに帰っていった瑞季達には気付かなかった。