篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「あの人はね、根は真面目でそういうことする人じゃなかったんだよ。色々事情があって、ヤケになってただけで。心を入れ替えるって言ってたから、私も篠宮くんとのこと前向きに考えたいの」
篠宮くんと知り合う前はカッコいいな、話してみたいとしか思わなかった。
まさに絵に描いて出てきたような、女の子の理想とする王子サマ。
それが関わっていくうちに、印象ががらりと変わったなぁ。
女癖が悪いと知って最初はショックだったけど、だんだん無理をしてるんじゃないかとなんとなく思い始めたんだ。
親の話になった時に、ときどき陰りのある表情を見せたのがすごく気になって、胸が締め付けられて
気づいたら“キミのことをもっと知りたい”って気持ちが芽生えてた。
綾羽は私の話を真面目に聞いた後、うんうんと頷く。
「……ん、そっか。天音が篠宮を本当に好きって言うならもう止めない。で、返事はいつするの?」
「来月の体育祭の日に返事するつもり!」
「わかった。話してくれてありがとね!」
やっと、いつもの太陽みたいに明るい笑顔が見られた。
落ち込んでいても綾羽の笑った顔を見るだけで、元気になれるんだよね。