篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「もっと早く綾羽に話していればよかったんだけど……」
「なんか話せない理由でもあったの?口止めされてた?」
「……その、篠宮くんがそんなことする訳ないって疑われるかもしれないと思って。それに他の人に知られたくなかったんだよ」
本人は無自覚だけど、綾羽って声が通りやすくて特に笑い声がよく響くの。
悪いとは言ってないよ。クラスメイトに聞かれて、篠宮が保っていたイメージが壊したくなかった。
「えー、天音のこと疑ったりする訳ないじゃん!人は誰だって裏表あるし、『へー、そうなんだ』としか思わないよ?もしかしてあたし、口が軽いって思われてたの!?お喋りだけど、大事なことはペラペラ喋んないよ!?」
「そっ、そうだよね!もちろん信じてたよ!?」
「うそ、信用してなかったでしょ!!もーっ!」
「ご、ごめん!」
どうやら、私が心配し過ぎなだけだったようだ。
今思えばわざわざ教室で話さなくたって、ラインや電話でこっそり伝えることだってできたはず。
……大事な友達を信じてあげられなくてどうするの、私!
本気で怒ってはないから安心した。
ぷんぷん!みたいな怒り方がかわいい。
「まぁ、もし篠宮と付き合うことになって女子からいじめられるよなことがあったら、遠慮なくあたしに相談してね。約束!!」
「うん!」
指切りげんまんをして、改めて綾羽が友達でよかったなと心から思ったよ。