篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



これまで数え切れないほどキスをしてきたけれど、ようやく今、想いを伝えあった私たち。


ちゃんとした、名前のある関係になれたんだ。



「今更だけど、最初に会った時は色々ごめん」


「あはは……私こそ、一番最初に助けてもらった時、お礼も言わずに逃げちゃってごめんね」


「んーん、あれがなければ、今こうして倉科と付き合えなかったからな」


本当に、とても奇跡のような偶然だったと思う。


事故チューしたあの日まで、私は篠宮くんのことを高嶺の花だと思っていて、遠くで見てることしかできなかった。

でも、偶然唇が触れ合った瞬間からもう恋が始まってたのかもしれない。
 


私、本当に篠宮くんの彼女になったんだよね……!?


もしかして夢なんじゃないかなと一瞬錯覚し、自分のほっぺをつねってみる。


ああ、まぎれもない現実。

感動で胸がいっぱいだよ。



「……ねぇ、篠宮くん。名前で呼んでもいい?」


「もちろん。俺もいい?」


「うん!」



目の前の大好きな人に向かって、晴れやかな笑顔をみせる。


篠宮くんが私の肩に手を置き、だんだんと顔を近づけてきてキスをしようとしてるのが分かり、瞼をぎゅっと閉じてそれを受け入れた。


唇を押し付けあうだけの拙いキスは、幸せとやわらかい温もりを感じて。



「ん……」



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