篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
ぶつかった相手が彼で良かったなって、心底思うよ。
差し入れで配られた、爽やかなスパークリングレモンの味がする。
十数秒ほど、軽く触れ合うだけのキスをした後、思い出したみたいにゆっくり舌を私の唇に差し入れてきた。
1回目よりもどこか切羽詰ったみたいに、強引にキスを続け、私は何も考えられなくなってとにかく無我夢中で応えていた。
はぁっ……いつもキスが上手すぎて、ぐずぐずに溶かされちゃう
ってのは贅沢な悩み?
それで酸欠になるのがお決まりだから、私も鼻で息ができるようにならないとだ。
こんなにちゅーばっかりしてたら、
キス中毒になってしまいそう。
……もう手遅れか。
まぁ、篠宮くん以外の誰かとキスするなんて、考えたこともないから問題ないね!
「ふっ、……あ」
今度はキスを中断しないように必死で声を堪えたけど、それでも言葉にならない声が私の口から漏れる。
お砂糖みたいに甘ったるい声が出て、ぶわっと顔に熱が集まった。
「……ふっ、やらしー声…」
ほんの一瞬。
唇を離さない程度の距離で、篠宮くんが吐息交じりの色っぽくて低い声で囁く。
「っ!」
私は思わずドキッとして、薄らと目を開ける。
至近距離の恋人は、欲情を滲ませた顔をしてるように見えた。
また深く口付けられて、口の中で2人の舌が絡む。
気付けばあんなに恥ずかしかった気持ちも忘れて、必死に篠宮くんにしがみついていた。