篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「正直もっとしてたいけど……すげー見られてるから、今日はこの辺にしとこうか」
名残惜しそうに離れた篠宮くんの目線の先には、こっちを凝視しながらニヤニヤしたり、顔を赤くして耳打ちし合ってるクラスメイト達。
その中には、もちろん綾羽、佐野くん、ちひろちゃんも含まれてる。
……ひゃあああ!!
待って待って、さっきのがっつり見られてる!?
公開処刑じゃん!むり、恥ずか死!!!
って、この流れさっきもやったし。
顔から火が出そうって状態はまさに今のこと。
「目立つの好きじゃないこと知ってたけど、アイツらに見せつけるためにわざと目の前でやった。ごめんな?」
いたずらっ子みたいに笑ってる。
うーん、その顔ごめんって思ってないね。
大勢の人がいる前で、堂々とキスできる大胆さは見習いたい。それを受け入れる私も私だけど。
もういいや、恥ずかしいって感情は捨てた。
イケメンだから許す!!
お幸せに!と私たちに声を掛けてから、ぞろぞろと一足先に教室へ帰っていくみんな。
グラウンドにいるのは私と篠宮くんだけで、正真正銘、ふたりきりだ。
少し緊張しながら口を開いて、大切に大切に名前を呼んだ。