篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
俺だけの××
◇慧side
体育祭当日の昼下がり。
今は、女子が振付を考えて踊る創作ダンスの時間。
だから、俺を含む男共は日陰で休憩中。
水分を摂りながら静かに眺めていると、近くでわーわー騒いでる野太い声が聞こえてくる。
うっせーな、誰だよ。
チラッと見ると、多分3年らしき体格のいい男4人組が固まって話していた。
「ちひろちゃん、踊ってるとこもかわいすぎ!」
「それな。そこら辺のアイドルより全然かわいい!他の女子が霞んでみえる」
「おい、聞こえるぞやめとけ」
「写真撮ったら駄目なん?」
あー、思い出した。多分、ちひろの親衛隊だ。
前にこんなこと言ってた気がする。
『最近ね、よく私の欲しいものを貢いでくれる人達がいるの!これ欲しいなぁってなんとなく呟いたら、次の日にはいって渡してきてさ……』
それ、普通にストーカーっぽくて怖くね?って言おうとしたけどやめた。
アイツ、異常なほどモテてるから厄介な男に絡まれたりしないか最初は心配してたんだ。
でも、ちひろはサバサバした性格でちゃんと線引きするタイプだから、そんな心配は必要なかったわ。