篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。




リレーの直前に、倉科に会いに行こうとしたけどグラウンドにはいなかった。


あれ、瑞季もリレー走者なのにどこ行った?

アイツ、すぐフラッとどっか行くから探すのに一苦労するんだ。

いつも一緒にいる友達に倉科はどこか聞くと、体調がよくないから教室で休んでるとか。


大丈夫か?

心配しながら教室に入ると、倉科と瑞季が楽しそうに話してて、面白くない。教室に入る前に、どんな話をしてるのかこっそり聞き耳を立てた。


別に他愛もない普通の会話だったのに、それでもモヤモヤが消えない。


……俺以外に笑顔を見せるなよ、

とかカッコ悪い嫉妬が心の奥に芽生えてる。


こんな心狭くて独占欲強いとこ、見せられないな。


1人の女に執着すること自体が初めてで、倉科と関わる前は来るもの拒まず、去るもの追わずって感じだった。


ついさっき来たような素振りで、教室に入り先に瑞季をグラウンドに行かせる。
 


「俺がキスしたいと思うのは、倉科だけだよ」



俺の気持ちが全て伝わるように、慎重に言葉を選んで言葉を重ねた。


……熱を持った頬に手を添えて、ゆっくりと俯いていた顔を上げるように促す。

ようやく俺を見た倉科の顔はやっぱり真っ赤で、可愛くて。


少し潤んだ目で見つめられて、一瞬グラッときた。


〜〜っ、あっぶねぇ……かわいすぎてマジで押し倒すとこだったわ。

耐えろ、俺のザコ理性。


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