篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。




「手伝うよ!2人でやった方が早いから!」

「そっか、助かる。ありがとう」


ま、眩しい…!

いつもは遠くで見てた王子様スマイルを目の前で見て、破壊力がやばい。

嫌われてはなさそうだと分かって、とりあえず一安心。


静かな空き教室の中に、ホッチキスで紙を纏める音だけが響く。


ひとつの机で向き合って、山積みのプリントをひたすら冊子にする作業をしながら、集中しなきゃと思いつつも綺麗な顔を眺めてしまう。


黒目がちの大きな目、整った鼻筋、薄い唇、どこを見ても完璧で、下手したら私より睫毛長いんじゃないかな。

篠宮くんもたまに顔を上げるから目が合い、その度にフッと微笑まれて、ドキドキが止まらない。

駄目だ、何か喋らないと私の心臓が持たない…!



「……あの」

「ん?」

「昨日、事故でキスしちゃってごめんね」


「倉科は何も悪くないよ。俺もその事で話そうと思って話すタイミングを計ってた。でも、なかなか話せじまいで」


「あ……それでよく見られてる気がしてたんだ」


「え、俺そんなに見てた?」

「何回も目が合うなって思って」


今日1日、ずっと言いたかった事を言えてスッキリした。

篠宮くんはポカンとなって、次いで照れたような表情でサラサラの黒髪を撫でる。


「あー…悪い、無意識だった」

「んぐっ!」


思わず変な声が出ちゃったよ。



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