篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。


「……あの、私、暗くなるまで一緒にいるよ。
弟たちも慧くんに会いたがってるから、いつでも遊びに来てね!」


精一杯笑ってみせた私に、慧くんは苦笑いを返す。


「心配させたかった訳じゃないんだ……だから、そんな顔しないで」


逆に私が気遣われてしまった。


……ああ、もっと頼ってもらえるようになりたいな。

でも、この件に関しては気軽に頼ってなんて言えないよ。

今の私に出来る事は、慧くん不安を取り除いて、
いつか家族との問題が解決するその時まで、ただ傍に居ることだけだ。


悶々とする考えを断ち切り、努めていつもの表情へと戻した。

すると、慧くんは安心した笑みを浮かべて、次いでちょっと照れたように頬を掻きながら


「えっと、ここからが本題なんだけど」と言って一度言葉を切った。


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