篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



慧くんと過ごすのが楽しくて、あっという間に1カ月が過ぎていった。

ふわふわした夢心地でいたいけど、夏休み明けのテストがそれを邪魔してくる。


「テスト全教科返すぞー」という一言を聞いた時、本気で夢から覚めたね。


あー……気分が一気にブルーだ。

数学だけ自信ないから、切実に返ってきてほしくない。

課題はもちろん終わらせたし、夏期講習も行ったものの今年はいまいち集中できなかったから。


神様、お願いします!そこそこいい点数にしてくださいっ!


……なんて願いが通じる訳もなくて、


「う、噓でしょ……!?」


苦手な数学で初めて赤点を取ってしまった。


自信なかったとは言え、赤点だとは思わなかったよ。


そもそも勉強していないのに、運がないと点数取れるはずがないじゃん。……つくづく甘い考えだったって思い知らされた。


他の教科は全部平均点を上回ってるのに、数学だけ悲惨な点数という結果にサーッと顔が青ざめる。


「天音、何点だった?……あらら」


ショックで固まってる間に、綾羽が私の机にやってくる。

綾羽の答案をチラッと見てみると、どれも余裕の80点越え。

賢い人が羨ましいなぁ!


「親に見せるの嫌だよー!!」


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