篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
表は全部解けたけど、裏のラスト2問がどうしても分からなくて困ってる。
「ごめーん、教えてあげたいんだけどバイト入ってる!がんばっ!」
頼れる綾羽も先に帰ってしまった。
白紙で提出しても怒られはしないけど、成績に響くとか何とか。
数分ごとににシャーペンを置いて、唸ることしかできない。
「もう諦めて帰ろっかなあー」
途中までは頑張ったから、そこは先生も評価してくれるでしょ……
「倉科?」
「ひゃっ!?」
いきなり教室に入ってきたまさかの人物に、ビクッ!と椅子から浮き上がるほど飛び跳ねる。
「し、篠宮くんと佐野くんっ!?」
「ごめん、驚かせた?」
「ううん、私が勝手に驚いただけ!」
「はは、すげーいい反応すんじゃん!
慧から話は聞いてたけど、倉科って面白いな」
あの佐野くんが、私に笑顔を向けている……‼
佐野くんと言えばくしゃっと笑った顔が女子に人気なんだけど、それを間近で見られるなんて幸せ以外の何物でもないよ。