篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



「……篠宮くん忙しいもんね!答えだけ移させてもらって、家で復習するから大丈夫!」


素早く空欄に答えを書き込み、急いで筆箱を鞄に入れようとした時だった。


「……っ!」


篠宮くんの手が伸びてきて、動かしてた手を優しく机上に縫い止められる。

覆い被さった手は、私の手をすっぽり隠してしまうほど大きくて、異性なんだってことを実感させられドクンッと心臓が跳ねた。


恐る恐る顔を上げれば、篠宮くんと視線が絡み合う。


キスをする直前に似ていて、またあの時の思い出しそうになる。

もう終わったことなのに……



「……俺で良ければ教えようか?」

「え、でも部活あるんじゃ……」


「今日は部活ない日だから大丈夫。道具取りに来ただけ」

「じゃあ、お願いします……」

「うん」


お言葉に甘えて、篠宮くんに教えてもらうことに。

すると、篠宮くんは椅子を私の座っている隣にくっつけてきた。


「これはこの公式を使って……」


だから、近いんだって……!

密着してるのと変わらない距離感に集中できそうにない。

え、イケメンは皆こうなの!?無意識でやってる?


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