篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
それとも私、弄ばれてるの?
自分がモテることよく分かってて、私が恋愛経験ゼロの初心だから、ちょっとからかってやろうかみたいな。
ううん、きっと無意識だ。
教えてもらっている最中に、正面で椅子に座ってスマホを見ている佐野くんをチラ見する。佐野くんは私と同じ帰宅部だったはず。
どう考えても篠宮くんを待ってる状況。
ごめんね、時間取らせて。早く終われるように頑張るから!
それから、10分が経った。
「全部解けた……!」
「お疲れ様」
ちゃんと計算式も書けたプリントを眺めて達成感を感じる。
「篠宮くんのおかげだよ。教え方上手だった、本当にありがとう!」
「役に立ててよかった。倉科が飲み込み早いから教えやすかったよ」
篠宮くんのキラキラした笑顔を見れただけで、勉強が捗りそう。
さっき教えてもらった部分は、何があっても絶対忘れない!
これからは居残りにならないように頑張ろう!
「なぁ」
終わったのを察したのか、佐野くんが声を掛けてきた。
「倉科とのキスって他の女子よりいいの?」
「……へっ!?」