篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
興味津々といった眼差しでとんでもないこと聞かれてる。
篠宮くんとキスしたこと知ってるの……?
「お前、いきなり何言いだすんだよ」
「いや?慧が珍しくどんなによかったか熱弁してくるから、気になってさ」
……その話詳しく聞かせてほしい。
「熱弁まではしてない。話を盛るな」
「でも、よかったって言ってただろ?」
「………まあ」
少し恥ずかしそうに目を逸らされて、こっちまで恥ずかしくなった。
リップクリーム塗っただけの唇をいいって言ってくれて……喜ぶべきなのか、複雑な気分。
「あ、ありがとう……」
佐野くんは不敵な笑みを浮かべると、いつの間にか離れていた距離を縮めてきて、更に驚く事を口にする。
「そんなにいいなら、俺ともしてみる?」
「えっ!?」
今までの話の流れで、なんでそうなるの!?
「瑞季、やめろ」
篠宮くんに咎められるのも気にせず、さりげなく手を握って、端正な顔を近づけてくる。
躊躇いって言葉知らないのかな。
イケメンは怖いもの知らずなんだ、納得してないけどなるほど。
ドキドキ通り越して、胃が痛くなってきた!
「慧としたなら俺ともしよ?」