篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



私、誰とでもキスする訳じゃないよ。


「付き合ってないのに軽々しくキスなんかできない」


こっちは必死に首を振って拒んでるのに、ニヤニヤ笑いながら一向に離れようとしない。完全に私の反応を見て楽しんでる。

お願い、何とかして!

篠宮くんを見るけど、苦笑いするだけ。


「倉科みたいな純粋な子久々に見たわ」

「……馬鹿にしてる?」


経験ゼロで悪かったね!


「してないしてない。でも、別に付き合ってないとキスしちゃいけないって決まりはないよ?」

「それはそうだけど………」


「俺は可愛かったら誰でもいいし、向こうからされても拒まない。慧だって同じ」


「え……篠宮くんも……?」

「そーだよ。なんなら一線も超えて……」


「お前、余計な事言うんじゃねーよ」


聞き捨てられない事実を聞いちゃった気がする……佐野くんの口を塞いで、ちょっと怒ってる様子の篠宮くんに恐る恐る尋ねた。


「今の話、本当?」


気まずそうに少し黙った後、小さく頷く。


「…………そっか」


< 31 / 180 >

この作品をシェア

pagetop