篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
私、誰とでもキスする訳じゃないよ。
「付き合ってないのに軽々しくキスなんかできない」
こっちは必死に首を振って拒んでるのに、ニヤニヤ笑いながら一向に離れようとしない。完全に私の反応を見て楽しんでる。
お願い、何とかして!
篠宮くんを見るけど、苦笑いするだけ。
「倉科みたいな純粋な子久々に見たわ」
「……馬鹿にしてる?」
経験ゼロで悪かったね!
「してないしてない。でも、別に付き合ってないとキスしちゃいけないって決まりはないよ?」
「それはそうだけど………」
「俺は可愛かったら誰でもいいし、向こうからされても拒まない。慧だって同じ」
「え……篠宮くんも……?」
「そーだよ。なんなら一線も超えて……」
「お前、余計な事言うんじゃねーよ」
聞き捨てられない事実を聞いちゃった気がする……佐野くんの口を塞いで、ちょっと怒ってる様子の篠宮くんに恐る恐る尋ねた。
「今の話、本当?」
気まずそうに少し黙った後、小さく頷く。
「…………そっか」