篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
気づき始めた気持ち
◇慧side
見た目で寄ってくる女と適当に遊ぶ。
飽きたり面倒になったらすぐに捨てる。
表では王子と呼ばれている俺の本性が知られたら、最低だとか見損なったと思われるんだろうな。
そういう関係だって最初から言ってあるのに、しつこく迫ってくるのが悪いんだよ。
本気になられても迷惑なだけ。
きっとこれから先も、本気で好きになるような女子は現れないと思ってた……倉科と事故でキスするまで。
「はー、最近ハズレばっかでつまんねー。
何か可愛い子いねーの?」
「お前の好きそうなのいるよ、俺はタイプじゃないけど」
「どれ?お、良さそう。連絡先送って」
放課後の誰もいない教室で、幼なじみの瑞季とちひろと特に意味もなく喋っていた。
ちひろは今付き合ってる彼氏とのデート前に、メイク道具広げて鏡と向き合っていて、俺らはテキトーに遊び相手を探している。
遊び仲間でもある瑞季に写真を見せたら、すぐに食いついてきた。
アイツは可愛くて従順な子だったら誰でもいいからな。
瑞季もちひろもすげー飽き性で、俺よりとっかえひっかえしてる悪い奴。
俺も似たようなものだけど、瑞季の女癖の悪さには勝てない。
「お前が犬系男子って言われてるの、マジで違和感しかないんだけど」
「は?その言葉そのまま返すわ!何が王子様だよ、今のお前を親衛隊に見せてやりてえ」
笑って軽口を叩きながらも、瑞季好みの女子のLINEを送ってやる。