篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



「………んっ……」

「……ふ」


誰もいなくなった今日でこっそりキスをして、

触れ合っていた唇がゆっくりと離れた。


篠宮くんの綺麗すぎる顔を至近距離で見るのは恥ずかしいから、終わるまでぎゅっと瞑っている。


キスをしている間は鼻で息をするのが、正しい呼吸の仕方だとは分かっているけど、慣れてないから上手くできないや。

ただキスされているだけのはずなのに、
身体が甘く痺れてしまう。


結局ほとんど息をしないまま、キスが終わる頃には少しの酸欠状態でぼーっとした頭で、離れていった諸伏くんを見つめることしかできなかった。



……どうして篠宮くんは私とキスしたがるんだろ?

私じゃないとダメだって言ってたけど、綾羽やちひろちゃんみたいに特別かわいいってわけじゃないし、キス慣れもしてないから他の子でもいいと思うんだけどな。



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