篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
いつもならここで篠宮くんとこっそり視線を合わせるんだけど、今日は自分でやってみよう。
「綾羽、今日の放課後空いてる?数学のプリント教えて欲しい!」
私より全然頭が良くて、小テストでも居残りになった事がない綾羽に両手を合わせて頼んでみる。
綾羽はニカッと大きく口を開けて、満面の笑みを見せてくれた。
「いーよ!急に真面目になってどうしたの?隙を作らないとか言い出すし!」
「えっ、私はいつも真面目だよ!」
「真面目だけど要領が悪いんだよねー、天音は!」
「……ごもっともです」
「全部自分でやろうとしないで、あたしに頼ってくれたらいいんだよ!友達でしょ?」
「綾羽……大好き!」
「知ってる~!」
綾羽にぎゅっと抱きついて、持つべきものは友達だなってしみじみと思う。
そして、あっという間に放課後になり私と綾羽は図書室にやって来た。
「やば、図書室とか久々に入ったわ」
ケラケラ笑っていた綾羽はいざ教える時になると、真面目モードに切り替わって分かりやすく教えてくれた。
切り替えの早さは私も見習わないとだね。