篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



綾羽に教えてもらったおかげで、いつも30分以上はかかるのにわずか10分で解き終わった。


「思ったより早く終わったね!
天音の飲み込みが早いからじゃない?」

「私もこんなに早く終わるとは思わなかったよ。
ついでに、英語の予習もしとこうかな」


「おっ、頑張るねー!えらいえらい!」


「えへへ!綾羽、もう帰っていいよ。ありがとう」


「おっけー、それじゃまた明日!」

「うん、バイバイ!」


綾羽と手を振り合って別れたら、英語の教科書を教室まで取りに行こうと一旦図書室を出る。



「あ、倉科」

「篠宮くん!」


廊下を歩いていると、途中で篠宮くんとばったり出会った。

片手には書道の道具が入ってると思われる黒いカバンを持っている。

これから部活なんだろう。


「今日は目が合わなかったけど、教えなくて大丈夫?」

「うん、もう終わったからね!」


篠宮くんに自慢気に告げて、私だってやればできるんだよ!と誇らしげな気持ちで反応を待つ。


「……へぇ、良かったな」


……あれ?なんだか寂しそうな顔してる気がする。


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