篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「じゃあ、今から帰るの?」
「ちょっと予習してから帰るつもりだよ」
「……ふーん、まぁ頑張って。俺は部活行くから」
私の返事を聞いて、目だけ笑っていたけどどこかつまらなそうな表情を見せた。
その理由をやっと察して、どうしたらいいのか分からなくなる。
……キス出来ないことを残念がられているのかな。
勉強を教えてもらったり、助けてもらった代わりにキスをするのが習慣になっていたから。
ただからかわれてるだけだと思い込んでたけど、
本当に望まれていたんだ。
「そ、それじゃあ、また明日!」
「うん、気を付けて帰れよ」
気まずい雰囲気が漂う中、そう言って私は篠宮くんから逃げるように横を通り過ぎてしまったのだった。
ちょっぴり罪悪感を感じるけど、そもそも私たちは付き合ってないんだよ?
キスだけする関係をズルズル続けてるだけで。
これをきっかけに、篠宮くんは私とキスするのに飽きて構わなくなってくれたらいいけど。