篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



それから、また図書室に戻りしばらく勉強に没頭した。


「んー……!やっと終わったぁ、今何時?
えっ、あれから1時間も経ってるの!?」


予習が終わって、伸びをしながらスマホで時間を確認すると午後6時を過ぎていてビックリする。

気づいたら、図書室には私以外の生徒は誰もいない。


職員の人に早く帰りなさいと言われ、急いで荷物を持って昇降口に向かう。


「えっ……あ、雨?うそでしょ……?」


ちょうど靴を履き替えた所で、雨が降ってきた。

タイミング悪いなぁ、どうしよう。傘持ってないよ。


今は梅雨の時期だから、鞄に入れておくべきだったな。


呆然と空を見上げていることしかできない私の隣で、あまり話したことない同級生の女の子が傘を広げてるのに気づく。


「あ……」


傘に入れてくれないかと声を掛けようとしたけど、仲良くないから気まずくなるかもしれないとか、帰り道が違う可能性もあるとか色々と考えてしまう。


迷ってるうちに、その子は先に外に出ていった。


ああ、もう人見知り発動したらだめでしょー!!


「うーん、止むまで待つしかないか」
 

帰ろうとしていた気持ちを挫かれ、重い溜め息を吐きながらもう一度雨の降る空を見上げる。


遠くの方の空に雲がない事を確認してから、止むまでの時間をつぶす為に校舎の中に戻ろうとしたその時。


「倉科?」


< 64 / 180 >

この作品をシェア

pagetop