篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「じゃあ、学校の近くにコンビニがあるからそこまで傘に入れてくれない?
私、そこで傘買って帰るよ!」
私にしては名案じゃない!?と思って提案してみたけど、あっけなく却下された。
「そんなことしなくても、倉科の家まで送るよ。それから、駅まで戻って帰るから」
「ええっ、そこまでしてもらうのはさすがに悪いってば!」
「変に遠慮するなよ。倉科を送るのはもう確定してるから、諦めて中に入って」
篠宮くんはもう傘を広げていて、早く入れと催促してくる。
ただのクラスメイトにここまで優しくしてくれるんだ。
ほんと、遊び癖がある以外は見た目も性格もカンペキだから余計にもったいないよ!!
今すぐ女遊びをやめるべき!って言うのは大きなお世話?
「篠宮くんってちょっと頑固なとこあるよね」
「そうかもな。一度決めたことは曲げたくない」
優柔不断で流されやすい私とは正反対だ、いいな羨ましい。
大きめな篠宮くんの傘は、2人で入るのに十分な大きさだった。
必然的に寄り添って、他愛もない話をしながら家までの道を歩く。
心臓に悪いから雨に濡れるギリギリの所まで離れようとすると、篠宮くんは私が濡れないように傘をこちら側に傾けて距離を縮めてくるから出来なくて。