篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「全然雨止まないね」
「うん」
また心臓が鼓動する中、中身のない会話をしていると……雨足が、強くなってきた。
さっきから私が離れては篠宮くんが近づき、離れては近づいてを繰り返してる。
――グイッ!
「えっ!?」
突然痺れを切らした篠宮くんに肩を強く引き寄せられ、肩同士が触れて密着した。
ドキッ
ちょっと、相合傘してるだけでも恥ずかしいのにこんな恋人みたいなことして……もし誰かに見られたら誤解されちゃうよ!?
篠宮くんに抗議しようと顔を見上げれば、
切なげに眉をひそめてこちらを見つめてくるから胸が締め付けられた。
……まるで、離れないでと訴えているみたい。
そのまま、切ない感情をぶつけるように篠宮くんの腕の力が強まる。
雨で少しだけ湿った服と、制服越しに感じる体温にぶわっと顔が熱くなった。
あまりの恥ずかしさに思わず抜け出そうと力を込めたけれど、男子の強さには全然叶わないね。
抵抗する私の手は、添えているだけと同然だ。
「し、篠宮くん!何回も言うけど近いよ!?」
「同じ傘に入ってんだから近いのは当たり前だ……それよりなに離れようとしてんの?濡れるだろ」
「分かった、離れないからこの腕なんとかして!」