篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「あ、私の家ここだよ」
「……ん」
そうこうしてる間に、住宅街を少し歩いたところにある赤い屋根の家の前まで辿り着く。
「今日は本当にありがとう、助かったよ!」
「どういたしまして。あのさ、倉科……」
篠宮くんが何か言いかけたところで、車が結構早いスピードで私たちのを横切った。
ーーーバシャッ!!
「うわっ!!」
「きゃあっ!?」
なんと、車に水溜まりの水を思いっきり掛けられちゃった。
せっかくここまで濡れずに来れたのに、2人とも全身ずぶ濡れ!
なんか、今日はツイてない日かも。
「マジかよ、最悪……傘さした意味ないじゃん。
あーあ、髪まで濡れてる」
困った様子で髪の毛を触る篠宮くんは、濡れ髪が今っぽくて色気が半端ない。
水も滴るいい男ってやつ?
いや、そんな事言ってる場合じゃない!
「大丈夫!?すごいびしょ濡れだよ!?」
「倉科こそ、とんだ災難だったな」
「私はすぐに着替えられるけど、篠宮くんはそのままでいたら風邪引くよ!」
自分の家の目の前だったのが、不幸中の幸いだったと思う。
「あー、でも着替え持ってきてないからとりあえず帰るしか……」