篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。



「篠宮くんの家までどれくらいかかるの?」

「大体1時間くらい?」


1時間……結構かかるな。その間に体が冷えて風邪ひいたらかわいそう。

鞄や靴下まで濡れてそうだし、送ってくれたお礼になんとかしてあげたい。


そう思った私は、家のカギを取り出し扉を開けて、篠宮くんに中に入るように促した。


「私の家に上がって、濡れた靴とか制服を乾かした方がいいよ!!」


わたしの予想外の言葉に、ぽかんとしている。



「……えっ?いや、いいよ」


「ほら、入って入って!」

「おい、押すなって!」


帰ろうとする篠宮くんを強引に家の中へと押し込める。

篠宮くんが遠慮するなって言ってくれたんだから、
私にも遠慮しないで欲しいな。


カギが開く音に気づいて、中学3年の妹と小学校6年の弟が玄関まで迎えにきてくれた。

びしょ濡れな私と知らない男子に少し驚いてる。

ちょうどいい、タオル持って来てもらおう。


「ねーちゃんおかえり!
なんでそんなに濡れてんの?」


「おかえりー……ってほんとだ。
お姉ちゃん、傘持っていかなかったの!?」


心音(ここね)結音(ゆうと)、ただいま。
あのね、この人は高校の同級生!私が傘忘れたから送ってもらったんだけど、途中で車に水かけられちゃって。ちょっとタオル持ってきてくれない?」


< 70 / 180 >

この作品をシェア

pagetop