篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。
「篠宮くんの家までどれくらいかかるの?」
「大体1時間くらい?」
1時間……結構かかるな。その間に体が冷えて風邪ひいたらかわいそう。
鞄や靴下まで濡れてそうだし、送ってくれたお礼になんとかしてあげたい。
そう思った私は、家のカギを取り出し扉を開けて、篠宮くんに中に入るように促した。
「私の家に上がって、濡れた靴とか制服を乾かした方がいいよ!!」
わたしの予想外の言葉に、ぽかんとしている。
「……えっ?いや、いいよ」
「ほら、入って入って!」
「おい、押すなって!」
帰ろうとする篠宮くんを強引に家の中へと押し込める。
篠宮くんが遠慮するなって言ってくれたんだから、
私にも遠慮しないで欲しいな。
カギが開く音に気づいて、中学3年の妹と小学校6年の弟が玄関まで迎えにきてくれた。
びしょ濡れな私と知らない男子に少し驚いてる。
ちょうどいい、タオル持って来てもらおう。
「ねーちゃんおかえり!
なんでそんなに濡れてんの?」
「おかえりー……ってほんとだ。
お姉ちゃん、傘持っていかなかったの!?」
「心音、結音、ただいま。
あのね、この人は高校の同級生!私が傘忘れたから送ってもらったんだけど、途中で車に水かけられちゃって。ちょっとタオル持ってきてくれない?」