篠宮くんとふたりきりで、ヒミツのキス。




「うん。篠宮くんも一緒に食べるから、4人分の食器とスプーン出しといて!」


私がそう返事してるのを聞き、篠宮くんが困った顔になった。


「えっ?それは悪いから、服乾いたら帰るよ」


「いいよ!カレーたくさんあって余ってるから、消費してくれたら助かる!!ねっ、心音?」

「う、うん」


「心音、ごめんだけど除湿機出してスイッチ入れといてくれる?あと、お風呂のお湯も溜めといて」

「はーい!」


いつも私のお願いを素直に聞いてくれて、ほんとにいい子。


家族の分だけだったら足りなかったけど、今日はたまたまカレーでよかった!


「勝手に食べたら、親が怒らないか?
ていうか、こうしてる間に帰ってくるんじゃ……」


ふふ、心配ご無用!


「私の親、塾の講師してるんだ。夕方から夜の9時までのはずだから、それまでに帰ったらバレないよ」


受験生の子を教えてたら、時間がかかって9時よりも遅くなる時がある時がある。

だから、先に晩御飯を作って早めに食べてから行くのがお決まりのパターンなんだよ。


「ああ、なるほど。何から何までありがとう」

「いえいえ!」


「……倉科ってお人好しなんだな。ここまで世話を焼いてくれた奴は瑞季とちひろ以外で、倉科しかいないよ」



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